「留鳥」・・・渡りをせず、一年中同じ場所にいる鳥。 「漂鳥」・・・国内を季節によって移動する鳥。 「夏鳥」・・・春に南の国から渡ってきて繁殖し、秋にまた帰る鳥。 「冬鳥」・・・北の国で繁殖し、秋に越冬のため渡米し、春にまた返ってゆく鳥。 「旅鳥」・・・日本より北で繁殖し、日本より南で越冬する鳥。春と秋の渡りの途中、日本に立ち寄る。 |
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30.イカルチドリ 留鳥 よく酔って「千鳥足」というが、チドリの仲間の歩き方からついた。少し走ってはピョコンと頭を下げてエサをついばむ。金山探鳥会では、これまで3月と8月に記録がある。もともと小石や砂のある河原の鳥なので、利根川や渡良瀬川に出かけると周年見られる。市街地に近いところでは新野の蛇川流域でも見られる。 |
31.シロチドリ 留鳥 野鳥愛好家はシギ・チドリのことを詰めて「シギ・チ」と呼んでいるのだが、チドリはシギほど種類は多くないものの、初心者には識別が難しく悩まされる。この辺で見られるチドリは前述のイカルチドリ、このシロチドリ、金山探鳥会では記録がないがコチドリの3種で、どれも頭から胸にかけてが兄弟のように似かよっている。大きい順に並べると、イカルチドリ、シロチドリ、コチドリの順。イカルチドリ、シロチドリが留鳥なのに対し、コチドリは夏鳥。脚の色がシロチドリでは黒で、他の2種は黄色いことが異なる点である。「千鳥足」ということから言えば、「赤」のような気もするが・・・。 |
32.イソシギ 留鳥 飛んだとき翼に白い線が出、歩きながらよく尾を振る習性のある比較的小さなシギの仲間。肩のところに白いくい込みのあるのも特徴。八瀬川のコンクリのへりを歩いていたり、長手沼の岸辺を散策していたりと初心者好みのシギであ。 |
33.タシギ 冬鳥 クチバシが長く尾が短いツグミくらいの大きさのシギ。黒褐色と茶褐色の班模様をしている。シギ類は旅鳥が多いのだが、このタシギは越冬のため渡ってくる冬鳥で、太田辺りでは少ないが、多々良沼や茂林寺沼などの湿地では冬場よく見られる。いつもヨシ原などから「ジェッ、ジェッ」と鳴きながら、急に飛び立つのでびっくりさせられる。 |
34.キジバト 留鳥 俗にヤマバトとも呼ばれるハト、探鳥会ではほぼ100%記録される。スズメ、ムクドリ、カラスなどとともに、識別するうえで、大きさの基準となる「ものさし鳥」である。人家のまわりに多いし、歩くときの動きもスローモー、鳴き声も「デデッポーポー、デデッポーポー」と特徴があることから、真っ先に覚えられる鳥の一つであるようだ。ちなみに私には「ダーダーポッポポー、デーデーポッポポー」と聞こえる。ハトは繁殖期に「そのう」の壁から「ピジョンミルク」という分泌液が出され、植物性の食べ物が食べられるまで、これをヒナに与え育てることが知られている。 |
35.アオバト 留鳥 キジバトと同じくらいの大きさのハト。飼鳥のように美しい。このハトには珍しい習性があり、渡りの時期に海岸へ出てきて塩水を飲むことが知られている。金山探鳥会ではほとんど姿を現すことはないが、ある年の10月、知人とタカの渡りの調査を行った際、月の池から降りてきてコースを右にそれた通称「鷹見台」でタカを待っていたところ、右から左へ緑色の体をしたアオバト4羽を真上から観察することができ感激した覚えがある。ちなみに鳴き声は「オアオー、オアオー」と姿に似ず不気味な感じである。 |
36.ジュウイチ 夏鳥 このジュウイチ、カッコウ、ツツドリ、ホトトギスをまとめて「杜鵑(トケン)」類というが、後述の3種が、姿かたちがとても似ていて、鳴いてくれないとなかなかわからないのに対し、ジュウイチは胸にかけてが横縞ではなく赤褐色なのでわかりやすい。また鳴き声が「ジュウイチ、ジュウイチ」のくりかえしなので、安易に?名付けられた。夏鳥として渡ってきて繁殖するが、比較的標高の高いところで生活するので、この辺では通過するだけである。 |
37.カッコウ 夏鳥 カッコウも名前のとおりで、「カッコウ、カッコウ」と大きな声で鳴くことから名付けられた。小学校の音楽の時間に「カッコウワルツ」や「静かな湖畔」を習うことから名前だけでも耳にしている人は多いと思う。太田市では、利根川などの川原に多く生息するので、金山での記録は、ほとんど遠くから聞こえてきた声によるものである。近年は5、6月の明け方、市街地にも飛来して大きな「カッコウ、カッコウ」が聞かれる。毛虫や昆虫を食べるので、アメリカシロヒトリも食しているかもしれない。 |
38.ツツドリ 夏鳥 カッコウに似ているが、お腹の横縞が太くて粗い。またホトトギスは体がずっと小さい。いずれにしても、鳴いてくれないとわからないのがほとんどだ。「鳴くまで待とうトケン類」なのである。ツツドリは「筒鳥」で、「ポンポンポンポン・・・」の鳴き方が筒を叩くような声であるのに由来している。宮沢賢治はこれを「寝ぼけた機関銃」と表現した。 |
39.ホトトギス 夏鳥 トケン類の中では最も小さい。ホトトギスの語源はホトトギが鳴き声を表し、語尾のスが鳥を表す接尾語である、とのことだ。聞きなしは、「特許許可局」とか「テッペンカケタカ」だが、後の方は髪の毛がさびしくなってきたものにとっては「テッペンハゲタカ」とも聞けるのでなんとも侘しい。聞きなしも罪つくりなものだ。トケン類には「託卵」という特徴がある。まさに他の鳥の巣へタマゴを産み込んで、子育てをたくらんじゃうわけだ。ホトトギスの主な託卵相手はウグイスである。 |
40.オオコノハズク 留鳥 フクロウの仲間であるが、私はこれまで見たことも聞いたこともない。探鳥会で、会員の一人が大光院で、「ポッ、ポッ、ポッ、ポッ、・・・」を聞き、一度だけ記録された。フクロウ類は「5時から男」でもないが、夕方から活動し、主として哺乳類を捕るが、羽毛が柔らかく羽音がしないのでエサ捕りに役立っている。 |
41.アオバズク 夏鳥 青葉のころ渡ってくるフクロウの仲間。まる坊主で黒褐色、腹には黒の縦班がある。目は大きく黄色い。エサは大型の昆虫やネズミ、また鳥も食べる。山頂の大ケヤキの横枝にじっとしているところが毎年見られ、アオバズク目当ての参加者も多い。例年5〜8月まで滞在する。ちなみに渡しの家でも、ほぼ毎年やってきては、夜9時すぎから「ホーホー、ホーホー」と二声ずつ鳴く。一番早い年では4月13日から鳴きだした。しかし、ここ2、3年は余り耳にしないので寂しい限りだ。 |
42.ヨタカ 夏鳥 全身に班模様がある茶色の夜行性の鳥、昼間は横枝に平行に止まって休んでいる。明け方「キョキョキョキョキョ・・・」が聞かれるが、初期の頃は探鳥会中もドライブウェイあたりから、この長い連続音が聞けてきた。なかなか姿を見られない鳥の一つだが、昭和56年に、友人と北海道旅行をした際、ウトナイ湖サンクチュアリに立ち寄ったところ、傷害鳥としてヨタカが運ばれて来たのを眼の前にしたことがある。図鑑とそっくりで長いヒゲが見られたのも感激であった。 |
43.アマツバメ 夏鳥 鎌のような長い翼をしていて、全体は黒褐色だが腰とノドは白い。比較的高いところで、群れて速いスピードで飛び回っているのを目にする。この辺には定住していないようだ。 |
44.カワセミ 留鳥 長いくちばし、腰のコバルトブルーと胸から腹にかけてのオレンジのコントラストが美しい。水辺のスター。実際、カワセミ目当ての参加者は多く、写真にはまってしまう人も多い。私もかつては写真に残したいと思い、一眼レフと300ミリの望遠、三脚を購入し、多々良沼で喜々として撮ったのだが、プリントしてみると豆粒ほどの大きさでしかなかったので、それ以外写真は締めてしまった。大島の八瀬川では、一直線に川面を飛ぶ姿を眼下にし、また長手沼では、横枝にじっと止まりエサの魚を狙う姿が参加者を釘づけにする。ちょっと慣れてくると、初心者に、「オスとメスの違いは、オスはくちばしの上・下が黒く、メスは下のくちばしが赤いです。」と自慢してしまう。 |
45.アオゲラ 漂鳥 緑色の体に赤い帽子をかぶったキツツキの仲間。地球上に約8,600種の鳥がいる中で、日本でしか見ることのできない純国産11種の一つ。ちなみに他の10種は、アカコッコ、メグロ、アカヒゲ、アマミヤマシギ、ルリカケス、ノグチゲラ、ヤンバルクイナ、セグロセキレイ、カヤクグリ、ヤマドリである。金山周辺では夏場見られなくなるが、より高い山へ渡っていくためと思われる。ある文献によれば、キツツキの古名は「ケラツツキ」だそうだ。「ケラ」は虫のことで、木の中の虫をつつくから。アオゲラとかアカゲラの「ケラ」はここからきている。 |
46.アカゲラ 漂鳥 アオゲラよりも小さい。背中に逆八の字があること、オスの後頭部は赤くメスのそれは赤くないなどが特徴だ。鳴き声はアオゲラと同じ「キョッ、キョッ」なので、野外で声のみによる識別は難しい。キツツキは先がドリル状になった長い舌で木の中から虫などを捕らえるのだが、通常は頭の中に刀のサヤのようなものがありそこに収まっている。 |
47.オオアカゲラ 漂鳥 文字通りアカゲラより大きい。オスの頭は後頭部だけでなく全部赤い。また脇には黒い縦班があり下腹の赤も鮮やかではない。全国的にも数は少なく珍鳥の部類に入る。私としては、野鳥の宝庫、新潟県松之山温泉小学校脇と北海道然別湖畔で見た2羽が特に印象に残っている。 |
48.コゲラ 留鳥 スズメぐらいの大きさで日本では最も小さいキツツキ。「ギィーッ、ギィーッ」と鳴きながら幹へ移りエサをさがす。金山では年間通して記録があるが、近年とみに増えてきた。コゲラはヒヨドリやカラスと並んで「都市鳥」といわれるが、それだけ金山周辺も都市化が進行しているかもしれない。キツツキが木の幹に縦に止まれるのは、尾羽の羽軸が固くとても丈夫で体を支えるのに適しているからである。 |
49.ヒバリ 留鳥 スズメより少し大きく冠羽をもっている。地上で昆虫や草の実をとるため、歩き方は、スズメがホッピングなのに対して、ヒバリはウォーキングである。ヒバリは天気の良い日に鳴いていることが多く、ここから「日暮れ」が「ひばり」になったといわれる。ヒバリの上がる高さは約100メートル、滞空時間は5〜10分である。田んぼや畑、河原などに行けば年間を通して、ほぼ確実に見られる。 |
50.ショウドウツバメ 旅鳥 この辺のツバメ類の中では最も小さい。ツバメよりも小さくて、尾羽の切れ込みは浅い。上面全体はこげ茶色で、胸にはT字形の帯がある。金山探鳥会では、これまでに7、10月に観察例がある。学生時代サークルの合宿で三宅島へ行った際、大路池の桟橋にこのショウドウツバメが止まっており、印象に残ったので帰ってから会の機関紙の表紙に絵を載せたのだが、自分で描いてみるとよく特徴を覚えられるようだ。 |
51.ツバメ 夏鳥 人家の軒先に巣を作る燕尾服の語源となる鳥。探鳥会では、八瀬川周辺や長手地区の人家前の電線に何羽か並んで止まる姿が見られる。ツバメのルーツをたどっていくと「つばくらめ」として、「日本書紀」に登場してくる。おしまいの「め」は「すずめ」、「かもめ」などと同じで鳥を表す接尾語、その前の「くら」は「から」に通じ、「しじゅうから」、「やまがら」の「から」と同様よく鳴く鳥のことを言うらしい。さらに「つば」は鳴き声からきている。どんな言葉もたどっていくと興味深い意味を持っている。 |
52.コシアカツバメ 夏鳥 体はツバメよりもやや大きい。尾羽の切れ込みはツバメより深く、ノドから腹にかけて細かい縦班が多数見られ、飛んだときの腰の赤茶色も目立つ。固体数はさほど多くないが、かつては八幡町地区でかなり見られ、病院の外壁に営巣したのを皆で確認に行ったことがある。 |
53.イワツバメ 夏鳥 ツバメよりも小さい。見分けるには、ツバメはノドが赤茶色であるのに対して白く、飛んだときの腰の白さと、尾羽の切れ込みもないこと、などだ。関東では平野部で広がりつつあるとはいえ、よく目にするのは山地部で、尾瀬に行くと、山の鼻の小屋のまわりを忙しく飛び回る姿を目にするが、見ているこちらの方が疲れてしまう。 |
54.キセキレイ 留鳥 セキレイはどんな鳥かと聞かれたら、水辺にいて尾を縦に振りながら歩くスマートな鳥ということで大体分かって貰えるのではないだろうか。さらにこのキセキレイは後述の2種「セグロ、ハク」と違って、胸から腹にかけて黄色いので、なおさらすぐ言い当てられると思う。セグロセキレイやハクセキレイと比べると数は少ないようだ。長手沼では、毎冬氷の上を歩く姿が見られるが、よく見ていると滑ってしまうこともあるので、思わず笑ってしまう。 |
55.ハクセキレイ 漂鳥 夏場はほとんど見られないが、昔よりも固体数が増えてきた。セキレイ3種の棲み分けは、おおざっぱにいうと、河川の上流部の渓流などがキセキレイ、中流域がセグロセキレイ、下流から海辺にかけてがこのハクセキセイである。 |
56.セグロセキレイ 留鳥 セキレイ3種の中では最も普通に見られ、年間通して記録がある。白と黒の2色からなる鳥は、例えばクロツグミもそうだが、とてもシンプルなようでいて、また白黒はっきりしているので、けっこう派手に見える。このセグロセキレイも同様だ。また車のフェンダーミラーに写った自分の姿を攻撃する変な習性を持っている。 |
57.ビンズイ 冬鳥 別名、「木ヒバリ」と言われるがセキレイの仲間なので、よく尾を上下に振る。胸から腹にかけての縦班が特徴。冬鳥なので、冬から春にかけて、少ないものの、金竜寺裏手、砂防ダム脇のコナラの枝先に止まっている姿が目につく。 |
58.タヒバリ 冬鳥 タヒバリもヒバリの仲間ではなくセキレイ科に属する。見た感じビンズイに似るが、茶色味が強く、頭も丸っこい。これまで1〜3月にかけて記録があるが、長手沼の岸辺や八瀬川放水路の水の無いところわ、せわしく尾を振りながらヒョコヒョコ歩く姿が見られる。 |